前回の記事では「眉間を緩める」ことがどれほど身体全体をリラックスさせ、解放状態へと導くかについて掘り下げた 。今回は、この身体の働きやマインドフルネスの体験を「クンダリーニ」、「タントリック・シャイヴィズム(以下、TS)」の教えにおいていかに体系だって研究されているかと関連づけて、説明していきたい。
眉間を緩めると、体の周波数が変わる
眉間(アジュナー・チャクラ)の力を抜いて身体が解放されると、私たちの「エネルギー状態」が根本から変化する 。
物理的に捉えれば、私たちの身体は常に微弱な電流を発し、電磁波を周囲に放射している 。身体の「力み」が取れてエネルギーが変わると、生体から発せられる電流や電磁波の波形・周波数が変わる 。すると、物理的な共鳴の法則に従い、同じ周波数を持つ出来事や環境と共鳴し、引き寄せる現実そのものが変わってくるのだ 。
身体構造:第三の目から骨盤底筋、そしてシュスムナー管へ
ヨガの体系において、眉間(第三の目)はエネルギーの主要な通り道である 。
解剖学的・筋膜的な視点で見ても、目の周りや眉間を緩めることは、首・背中を経て骨盤底筋へと繋がる筋膜のライン全体を弛緩させる効果を持っている 。
眉間が緩むことで骨盤が自然と立ち、正しい姿勢が定まる 。これにより、生命エネルギーの源泉であるベースチャクラ(ムーラダーラ)から、エネルギーの煙突である脊髄(シュスムナー管)へと、クンダリーニ(エネルギー)がスムーズに立ち上がりやすい土台が完成するのだ 。ちなみに、クンダリーニとはエネルギーそのものだ。というよりも、むしろ世界の全てはエネルギーで、その世界を構成するエネルギーの源泉のようなものである。
タントリック・シャイヴィズムにおける位置づけ
これらの考え方はヨガ全般で確立されているものだが、特にカシュミール地方で発展したタントリック・シャイヴィズム(カシュミール・シャイヴァ派)において、クンダリーニとの関係性が最も深く掘り下げられている 。
他の多くの流派において、クンダリーニは断片的にしか語られない傾向がある 。しかしTSにおいて、それは体系のまさに「中心概念」だ 。私自身がこれまで経てきた個人的な体感や変容のプロセスも、すべてこの学派の知恵の中で詳細に解明されていて、その教えを紐解くことで、たくさんのことを学んできた。
経典に秘められたメソッド
TSにおける代表的な経典『ヴィジニャーナ・バイラヴァ・タントラ(Vijnana Bhairava Tantra)』では、眉間や二つの目の間の空間に意識を沈め、力を抜いていく技法(瞑想法)が明確に記されている 。これは、宇宙の動的創造力である「シャクティ(Shakti)のエネルギー」を解き放ち、身体に巡らせるためのきわめて重要なメソッドだ 。
「解放」の副作用とシヴァの意識によるバランス
しかし、私自身が数週間ひたすらこの「眉間を緩める」アプローチを徹底したところ、強い眠気に襲われたり、ひどい物忘れが生じたりするという「副作用」を体験した 。
TSの重要著作『タントラーローカ(Tantraloka)』の理論に照らし合わせると、この理由は明確だ 。
これまで脳や神経系がサバイバルのための「逃走・闘争モード(交感神経優位)」に使ってきた膨大な計算スペックが、急激な弛緩とエネルギー開放によって一気に空き、脳のリソースに「巨大な空白」が生じたのである 。
この強い眠気や忘れっぽさは、シャクティ(動的な生命力)が解き放たれた一方で、それを統括する「シヴァ(観照意識・明晰さ)」によるフォーカス(軸)が不足しているサインだ。
これとバランスを取るために必要なのが、頭頂部から後頭部にかけて「シヴァ」のエネルギーを通すことである。シヴァとは、鋭い観照意識、静寂な明晰さ、純粋な観察者のエネルギーを指す 。
シャクティによる豊かな生命力の開放と、シヴァによる冴え渡る明晰性が融合したとき、ゆったりと世界を俯瞰しながらも、抜群の判断力と分析力が働く「Zone(ゾーン)」や「Flow(フロー)」と呼ばれる状態に入ることができる 。
おわりに
目指すべきは、単なる「脱力」でも「緊張」でもなく、このシヴァとシャクティが完璧に調和した明晰な覚醒状態だ 。
今後の記事では、このタントリック・シャイヴィズムの基本思想をさらに紐解きながら、現代の私たちが日常で実践できるエネルギー体系として具体的にお伝えしていく 。

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